2025-10-14

不動産相続が発生したものの、相続関係の複雑さなどの事情から、すぐに相続登記がおこなえないといったケースがあります。
そのような場合に、2024年4月に施行された「相続人申告登記制度」を利用することで、ひとまず相続人としての義務を履行したとみなすことができるようになりました。
そこで、相続人申告登記とはなにか、相続登記の違いや相続人申告登記のメリットデメリットも解説します。
鹿児島市で相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
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2024年の相続登記義務化に伴い、新しく「相続人申告登記」という制度が始まりました。
ここでは、相続人申告登記とはなにか、また相続登記との違いついても解説します。
相続人申告登記とは、不動産相続した方が簡易的に相続登記の義務を果たせるよう創設された制度です。
登記官に対して不動産の相続人である旨を申し出て、登記官が相続人の住所や氏名などを登記記録に登記する仕組みになります。
また、略称して「申告登記」と呼ばれることもあります。
この制度は、2024年4月1日に施行開始された相続登記の義務化と同時に開始された制度です。
相続人申告登記が新しく始まった背景には、2024年4月1日から施行開始された相続登記の義務化が関係しています。
相続登記は、これまで任意とされていたため、相続人より不動産を取得しても相続登記することなく放置するケースが多々見られました。
しかし、相続登記の放置は、所有者不明問題や、所有者の権利関係の複雑化などの原因となり、さまざまな場面で支障をきたしてきました。
そこで、このような問題を解決するために改正されたのが、相続登記の義務化です。
この義務化によって、不動産を取得したときから3年以内に相続登記をしなければならず、怠った場合は10万円以下の過料が課せられます。
一方で、相続関係が複雑な場合や相続財産が多い場合など、すぐに相続登記ができるケースばかりとは限りません。
そのような場合も同様に罰則が適用されるのは不合理のため、簡易的な申請をおこなえば相続登記の義務を免れることができるようになったのが「相続人申告登記」です。
相続人申告登記は、現在の名義人の相続人であることを登記しただけのため、将来的にその不動産を相続するかは別です。
一方で、相続登記は不動産を相続し、新たに所有者になった相続人に名義変更する手続きになります。
このように相続人申告登記は、あくまでも一時的な手段であり相続登記をしたことにはならない点に注意が必要です。
そのため、遺産分割協議により不動産の相続人が決まれば、必ず協議の日から3年以内に相続登記をおこなう必要があります。
そのほかにも、相続登記は登録免許税などの費用がかかりますが、相続人申告登記は登記の費用は不要である点も異なります。
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相続人申告登記は、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、相続人申告登記のメリットを解説します。
まず、メリットとして挙げられるのが、一時的に相続登記の義務を果たせる点です。
相続人の遺産分割協議や書類の準備などは、必ずしもスムーズに進むとは限りません。
このような場合に、相続人申告登記はとりあえず取り急ぎで義務を果たすことができます。
相続人申告登記は、相続人単独でも手続きができる点も大きなメリットといえるでしょう。
提出する書類も相続登記に比べると少ないため、自分の好きなタイミングで申請することが可能です。
なお、申請時に必要となる書類は、申出書のほかに、戸籍の証明書や住民票などが必要になります。
また、代理人が相続人に代わって手続きをおこなう場合は、委任状も必要です。
申請は、不動産を管轄する法務局にて申請をおこなえるほか、インターネット上の「かんたん登記申請」から手続きすることも可能です。
相続人申告登記のメリットには、相続登記の義務を果たさなかった場合による罰則を回避できる点も挙げられます。
前述したように、相続人申告登記は、一時的に相続登記による履行義務を果たしたことになります。
そのため、相続登記が期限内にできない場合でも、罰金の対象とはなりません。
ただし、申告した相続人のみが相続登記の義務を履行したとみなされるため、ほかの相続人にはその効果がないため注意しましょう。
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相続人申告登記は、メリットが大きいように思われますが、デメリットもあるため注意しなければなりません。
ここでは、相続人申告登記のデメリットを解説します。
相続する不動産の活用予定がない場合など、売却を検討している方もいらっしゃるでしょう。
しかし、相続人申告登記は、相続人であることを申し出ただけのため、不動産の名義人となったわけではありません。
不動産を売却できるのは、不動産の名義人のみです。
そのため、相続登記をしない限り不動産を自由に売却することはできないため注意しましょう。
相続人申告登記は、二度手間になる点もデメリットの1つとして挙げられます。
たとえば、相続が発生したあとに、なかなか話し合いがまとまらないため、相続人申告登記をしたとします。
しかし、その後すぐに遺産分割協議が成立した場合、不動産を相続する方が改めて相続登記する必要があり、二度手間となってしまうのです。
相続人申告登記は、前述しているようにあくまでも一時的な登記です。
そのため、必ず相続登記をしなければならないため注意しましょう。
このように、期間内に遺産分割協議がまとまるケースもあるため、間に合わないことがわかってから相続人申告登記を検討するのがおすすめです。
相続人申告登記をおこなうと、登記事項証明書に手続きをおこなった相続人の住所や氏名が記載されます。
相続登記が未了の場合、一般的には配偶者や長男などの相続人代表に固定資産納税通知書が送られてきます。
しかし、相続人申告登記により手続きをおこなうと、申告登記されている相続人に送付される可能性もあるでしょう。
また、登記事項証明書を取得すれば申告した方の住所や氏名がわかるため、第三者からDMや営業チラシが送られてくる可能性もあります。
このように、相続人申告登記を利用することで、簡単に相続人の住所や氏名がバレてしまうこともデメリットといえるでしょう。
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相続した不動産を売却するときに覚えておきたい流れや注意点とは?
相続人申告登記は、すぐに相続登記ができないような場合に、簡易的な手続きのみで一時的に相続登記の義務を果たせる制度です。
また、相続人単独でも手続きができたり、相続登記の義務不履行による罰則を回避できる点もメリットといえます。
ただし、相続登記をしなければ売却できないことや、遺産分割協議が成立したら相続登記をする必要がある点に注意しなければなりません。
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