2024-07-16
生前に築いた財産は子どもに引き継ぐのが一般的ですが、それ以外の方に財産を遺したいという方もいらっしゃるでしょう。
このような場合に、財産を引き継ぎたい方と「養子縁組」をするという方法があります。
この記事では、相続における養子縁組について、メリットや注意点などを解説します。
鹿児島市で財産の相続についてお悩みの方は、ぜひ参考にご覧ください。
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ドラマや小説などでよく耳にする「養子縁組」ですが、どのような制度かご存じでしょうか。
養子縁組とは、血縁関係にない方同士が法律上の親子関係を結ぶための制度のことです。
養子縁組により、親として子を育てる方のことを養親(ようしん)、育てられる子を養子(ようし)といいます。
養親や養子という言葉が使われますが、養子縁組をすれば他人であっても法律上の親子になれます。
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。
普通養子縁組
一般的によくおこなわれる養子縁組が「普通養子縁組」です。
普通養子縁組の場合、養子は養親と法律上親子になっても、実親との関係も継続します。
したがって、養親と実親が亡くなった際には、養子は両方の財産を相続することが可能です。
普通養子縁組の手続きは、市区町村役場に書類を提出するだけで完了します。
特別養子縁組
特別養子縁組とは、なんらかの事情がある場合におこなわれる養子縁組です。
特別養子縁組をすると、養子と実親との関係は断ち切られるため、実親の財産は相続できません。
普通養子縁組に比べると手続きが複雑で、実親の同意や裁判所の許可も必要です。
養子になると実子と同等の扱いになるため、養親が亡くなったときは法定相続人に含まれます。
相続の順位や割合も実子と同じであり、これは普通養子縁組でも特別養子縁組であっても変わりません。
血が繋がっている実子のほうが財産を多くもらえるといったことはないと覚えておきましょう。
相続のために養子縁組をするケースは少なくありません。
その代表的なパターンとして挙げられるのが以下の3つです。
孫と養子縁組をする
祖父母が、孫に子と同等の財産を遺したいという場合にも養子縁組が検討されます。
生前贈与で財産を渡すことも可能ですが、生前贈与は年間110万円を超えると税金が課されます。
課税対象にならないようにするには、贈与額を年間110万円以内に抑えなければなりません。
養子縁組であれば、相続割合分をまとめて引き継がせることが可能です。
子の配偶者と養子縁組をする
自分の子どもの配偶者と養子縁組をして、財産を引き継ぐケースもあります。
たとえば、子どもの配偶者が献身的に介護してくれた場合、その配偶者に残したいと思う方も多いでしょう。
本来、子どもの配偶者に相続権はありませんが、養子縁組をすると子と同等の財産を渡せます。
妻の連れ子と養子縁組をする
どんなに自分の子どものように育てていても、再婚した妻の連れ子には財産を引き継げません。
法定相続人になる子は、原則として「被相続人と血縁関係がある子」と定められているためです。
しかし連れ子と養子縁組をおこなうと、実子と同様に財産を相続できるようになります。
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相続による換価分割とは?メリットやかかる税金も解説
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続いて、相続に向けて養子縁組をするメリットを解説します。
相続税には次のような基礎控除額があり、控除額を超えなければ相続税はかかりません。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
養子も法定相続人に含まれるため、相続税を削減できるというメリットがあります。
被相続人の勤務先が退職金制度を採用しており、被相続人が在職中に亡くなった場合、本人に支給されるはずだった退職金が遺族に支払われます。
死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」という非課税限度額があり、限度額を超えなければ税金は課されません。
養子は子と同順位の法定相続人であるため、非課税限度額を計算する際に人数に含めることが可能です。
相続税の基礎控除額と同様に、死亡退職金についても養子がいることがメリットとなります。
養子縁組の大きなメリットとして、相続人としての立場を継承できる点が挙げられます。
先述したように、再婚した妻の連れ子を我が子同然に育てていても、養子縁組をしなければ他人扱いです。
元配偶者との間に子どもがいて疎遠になっていたとしても、法定相続人である実子が財産を引き継ぐことになります。
しかし養子縁組をすれば、相続人としての立場を継承できるため、ご自身の財産を相続させることが可能です。
養子縁組をせずにご自身が亡くなった場合、養子に財産を渡したり生活を保障したりすることはできません。
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相続における現物分割とは?メリットやしやすいケースを解説
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相続に向けて養子縁組をすると、税金面でも養子の精神面でもメリットになります。
しかしメリットだけを見て決めると、あとで遺された子らが大変な思いをするかもしれません。
そこで最後に、養子縁組をする上で知っておきたい注意点を3つ解説します。
遺言書がない場合、遺産は法定相続割合で分割するのが一般的です。
被相続人の子どもには、遺産を平等に分割して相続する権利があります。
ここで養子が現れると、被相続人の子どもの相続分が減ることになり、相続争いに発展する恐れがあります。
トラブルを避けるためにも、養子縁組をする際は法定相続人にもしっかり説明しておくことが大切です。
法定相続人には以下のように順位が定められており、常に法定相続人となるのは被相続人の配偶者のみです。
第一位の方がいない場合は第二位の方、第二位もいなければ第三位という流れで相続権が移ります。
つまり状況によっては、兄弟姉妹、甥や姪など第三位の方が相続することもあるのです。
被相続人の一親等の血族および配偶者以外の方が相続する際は、その方の相続税額に対し2割が加算されます。
前章では「孫に財産を渡すために孫と養子縁組をするケース」があると解説しました。
孫は被相続人の二親等の血族に該当するため、孫を養子にすると相続税が2割加算される点ご注意ください。
養子を法定相続人として認めらてもらえず、基礎控除額や非課税枠を増やせないケースがあります。
たとえば、税務署から「相続税対策のためだけに養子縁組をした」と判断された場合です。
そうなると、相続税の申告のやり直しをしなければならず、場合によっては追加で課税される可能性もあります。
法定相続人に含まれる養子は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までという制限があります。
むやみに養子を増やしたり亡くなる直前に養子縁組をしたりすると、税務署からチェックされやすいでしょう。
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相続した不動産を売却するときに覚えておきたい流れや注意点とは?
実子以外に財産を引き継がせたい方がいる場合、養子縁組をすることで実子と同等の財産を承継できるようになります。
養子を迎えると、相続税の基礎控除額が増えたり、死亡退職金の非課税枠が広がったりと、さまざまなメリットがあります。
一方で相続争いになる可能性もあるため、相続に向けて養子縁組をおこなう際は専門家に相談しながら手続きを進めると良いでしょう。
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