農地の納税猶予とは?納税猶予を受けるための要件・手続き・注意点を解説

農地の納税猶予とは?納税猶予を受けるための要件・手続き・注意点を解説

この記事のハイライト
●農地の納税猶予とは農地を相続した際に継続的な営農を条件に税金の支払いを延期できる制度
●納税猶予を受けるには農業を継続することや申告手続きをおこなうなどの条件がある
●農業を辞めた時に利子税が加算される・耕作が必要・農地を貸し出す場合は要件がある点に注意

広大な農地を引き継ぐと、その分の税金が重くのしかかってくるのは困りものですよね。
そこで活用したいのが「農地の納税猶予」の制度です。
本記事で、農地の納税猶予とはなにか、適用されるための要件や手続き、注意点を解説します。
鹿児島市で農地を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。

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農地の納税猶予とは?

農地の納税猶予とは?

農地の納税猶予制度には、「贈与税の納税猶予」と「相続税の納税猶予」の2つの形態があります。
納税猶予の制度は農家離れを防ぎ、農地が細かく分割されることを防ぐために設けられました。

農地の納税猶予とは

農地の納税猶予とは、農地を相続した際に、その土地で引き続き農業をおこなうことを条件に、税金の支払いを延期できる制度です。
そのため、被相続人が農業を営んでいた土地を相続する場合に適用されます。
納税の猶予額は「農業投資価格」を基に算出された税額と、本来の相続税額との差によって決まります。
本来の相続税額のうち農業投資価格を超える部分に対する相続税が、納税猶予の対象です。

相続税の納税猶予が対象となる農地

相続税の納税猶予制度では、特定の農地が対象となります。
農地は大きく3つのグループに分類され、それぞれが一定の要件を満たしている必要があります。
「被相続人が農業に使用していた農地」の場合、以下の農地が対象です。

  • 遺産分割された農地:被相続人から相続により取得し、遺産分割が完了している
  • 贈与税納税猶予を受けていた農地:以前に贈与税の納税猶予の対象となっていた農地
  • 生前一括贈与を受けた農地:相続の年に被相続人から生前に一括贈与を受けた農地

「特定貸付けを行っていた農地」は、市街化区域外の農地(牧草放牧地も含む)が対象で、以下の事業による貸付けがおこなわれている農地が含まれます。

  • 農地中間管理事業(農地法第3条許可による貸付も含む)
  • 利用権設定等促進事業(農用地利用集積計画)

「認定都市農地貸付けまたは農園用地貸付けをおこなっていた農地」は、生産緑地地区内の農地を対象としており、認定都市農地貸付けまたは農園用地貸付けがおこなわれていた農地が含まれます。

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農地の納税猶予を受けるための手続きや要件とは?

農地の納税猶予を受けるための手続きや要件とは?

農地における相続税の納税猶予制度を利用するためには、以下の手続きや要件を満たすことが必要です。

被相続人・相続人の要件

被相続人は、以下のいずれかに該当している必要があります。

  • 死亡するまで農業を営んでいた
  • 生前に一括で贈与(贈与税の納税猶予を利用して)をおこなった
  • 死亡するまで特定の土地を貸し出していた(特定貸付け、認定都市農地貸付け、農園用地貸付けを含む)

相続人は、以下のいずれかに該当している必要があります。

  • 相続税の申告期限までに農業経営を始め、その後も継続して農業をおこなう
  • 生前に一括で贈与を受けた
  • 相続税の申告期限までに特定貸付けや認定都市農地貸付け等をおこなっている

上記の要件を満たすことで、相続税の支払いを猶予し、農地を活用した農業を持続可能にする支援を受けることが可能です。

相続税の申告手続き

相続税の納税猶予を受けるためには、適用要件を満たすだけでなく、以下の手続きもおこなう必要があります。

  • 相続税の申告書を期限内に提出:必要事項を記載した相続税の申告書を期限までに提出
  • 担保の提供:農地等の納税猶予額や利子税額に相当する担保を提供する
  • 必要書類の添付:相続税の申告書に、納税猶予に関する適格者証明書、担保関係書類などの書類を添付

適格者証明書は農業委員会に申請して発行してもらいますが、発行までに時間がかかることがあります。
そのため、相続税の申告期限に間に合うよう、できるだけ早めに申請することが重要です。
その他の必要書類も、期限に遅れないよう事前に準備を進めておきましょう。

納税猶予の手続きの流れ

農地の納税猶予特例を受けるための手続きの流れは以下のとおりです。
STEP①農業委員会で証明書を取得
まず、農地がある地域の市区町村農業委員会に「引き続き農業経営をおこなっている証明書」を申請し、発行してもらいます。
STEP②税務署に報告(相続税の申告期限内)
次に、相続税の申告期限内に、農地の納税猶予特例を利用する旨を税務署に報告しましょう。
この際、納税猶予額と利子税額に相当する担保を提供する必要があります。
STEP③「適格者証明願」の提出
農業委員会に「相続税の納税猶予に関する適格者証明願」を提出します。
その後、農業委員会による現地調査がおこなわれ、適格と認定されると「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」が発行される流れです。
STEP④税務署に申告
相続税の申告期限内に、税務署に必要な書類を提出しましょう。
提出する書類には以下が含まれます。

  • 税務申告書類
  • 「相続税および贈与税の納税猶予に関する適格者証明書」

これらの手続きを期限内におこなうと、納税猶予特例を適用することができます。
また、納税猶予の特例を継続するためには、3年ごとに継続届出書の提出が必要です。

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農地の納税猶予を利用するときの注意点とは?

農地の納税猶予を利用するときの注意点とは?

農地の納税猶予は、注意点を理解していないと適用を受けられなかったり、予期しない負担が増えたりする可能性があります。
注意点は、以下の3つです。

注意点①農業をやめると利子税が加算される

農地の納税猶予制度は、農業離れを防止する目的で設けられました。
農業を続けている限り、税金の支払いを延期することが可能ですが、農業を停止すると、納税猶予が取り消されるだけでなく、利子税が加算されます。
利子税は、税金の支払いを延期したことによる事実上の利息のようなもので、土地の種類に応じて異なる税率が適用されます。
農地の納税猶予を活用する際は、将来的な計画を十分に検討し、制度の条件を守ると、不要な利子税の負担を防ぐことが重要です。

注意点②耕作が必要となる

農地を相続しても、耕作をおこなわず放置していると、納税猶予の特例が取り消されてしまいます。
農地を放置すると、猶予されていた税金に加えて利子税を支払わなければならなくなるため、耕作が必要です。
ただし、以下のような特別な事情がある場合は、納税猶予が取り消されることはありません。

  • 災害や疾病による一時的な耕作不能
  • 土地改良事業等による使用不可能な状態
  • 国や地方公共団体による利用

耕作の継続が難しい場合は、状況に応じて例外が認められることもあります。
必要に応じて農業委員会や税務署に相談し、適切な対応をとるようにしましょう。

注意点③農地を貸し出す場合の要件

農地の納税猶予を受けた相続人が、病気や障害で農業を続けられなくなった場合でも、特定貸付をおこなうと、納税猶予を継続することが可能です。
ただし、この貸付には厳密な要件があり、以下の条件を満たす必要があります。

  • 貸付する農地の規模:農地の大きさが10アール未満であること
  • 営利目的ではない貸付:営利を目的としない貸付であり、農地は農作物の栽培に使用することが条件
  • 貸付期間:貸付の期間は5年以内であることが条件で、長期間の貸付は対象外となる

なお、特定農地を地方公共団体や農業協同組合以外に貸し出す場合、さらに追加の要件を満たす必要があります。
具体的な内容は事前に確認しましょう。

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まとめ

農地の納税猶予とは、農地を相続・贈与を受けた際に、その土地で引き続き農業をおこなうことを条件に、税金の支払いを延期できる制度です。
納税猶予を受けるには、農業を継続することや申告手続きをおこなうなどの条件があります。
注意点として、農業を辞めた場合に利子税が加算される、耕作が必要となる、農地を貸し出す場合は要件がある点が挙げられます。

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