2026-07-30
相続放棄が受理されると、その相続について初めから相続人ではなかったものと扱われます。ただし、放棄時に不動産を現に占有していた人は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務を負います。
相続放棄は不動産だけを選んで行えず、預貯金などの資産と借金などの負債をまとめて放棄する制度です。原則3か月以内に判断するため、財産調査と不動産査定を早めに進めましょう。
保存義務が残るのは、放棄時に相続不動産を現に占有していた場合だけです。相続放棄は相続人としての地位をすべて放棄する手続きで、不動産だけを選んで手放すことはできません。
民法第940条により、現に占有する財産は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで保存します。占有の有無は、居住状況や鍵の管理など個別事情で判断されます。先順位者が放棄すると、後順位の親族が相続人になる場合もあります。
表相続放棄と保存義務の整理
| 確認項目 | 原則 |
|---|---|
| 放棄できる財産 | 相続全体 |
| 申述期限 | 自分が相続人になったことを知った時から3か月以内 |
| 保存義務が生じる人 | 現に占有する放棄者 |
| 保存義務の終了 | 相続人などへの引き渡し |
| 清算人選任の費用 | 印紙800円、郵便料、官報公告料5,582円 |
不動産を放置すると、第三者への被害と空家法に基づく行政措置が問題になります。管理不全空家とは、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家です。
想定される被害
建物の設置・保存に問題があり損害が生じると、占有者や所有者が賠償責任を問われる可能性があります。ただし、相続放棄者の責任は占有状況や事故原因によって異なります。
図空家法に基づく主な措置
命令や行政代執行は直ちに行われず、原則として段階を経ます。代執行費用が義務者へ請求される場合もあります。
管理不全空家がさらに悪化し、特定空家に該当すると判断された場合は、特定空家に対する措置の対象となる可能性があります。勧告を受けると住宅用地特例が適用されなくなる可能性があります。
引き渡しまで保存義務がある場合に検討すること
相続した不動産を
売却で現金化!
売却価値がある不動産は、相続後に仲介売却または直接買取で手放せます。仲介売却は不動産会社が一般の買主を探す方法、直接買取は不動産会社が買主になる方法です。
表仲介売却と直接買取の比較
| 比較項目 | 仲介売却 | 直接買取 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 買主 | 個人・投資家など | 不動産会社 | 需要と状態 |
| 売却期間 | 読みにくい | 短縮しやすい | 査定時に確認 |
| 価格の傾向 | 高い可能性 | 低い傾向 | 手取り額で比較 |
| 残置物・修繕 | 対応が必要な場合あり | 会社ごとに異なる | 契約条件 |
| 内覧対応 | 複数回の可能性 | 抑えやすい | 引渡条件 |
| 向いている人 | 価格重視 | 期間・手間重視 | 優先順位 |
老朽化した建物でも、価格や立地、再建築の可否、土地需要によっては買主が見つかります。直接買取は再販売費や修繕費を見込むため、仲介より価格が低い傾向です。
図比較の軸になる手取り額の考え方
比較すべき数字
手取り額
契約不適合責任などの扱いも契約条件によって異なります。
まず確定させる
相続関係の確定と相続登記
売却にあたっては相続関係を確定し、原則として相続登記を行います。
2つの進め方
共同相続人がいる場合
遺産分割で取得者を決める方法のほか、相続人全員の合意により共有状態で売却する方法もあります。
相続した不動産を
売却で現金化!
判断までの進め方
財産全体の調査と不動産査定を並行し、3か月以内に相続する場合と放棄する場合を比較します。期限、財産全体、査定価格を確認したうえで、専門家と相続方法を比べることが判断の軸になります。
申述期限の目安
3か月
自分が相続人になったことを知った時から
元の所有者の死亡日と、自分が相続人になったことを知った日を確認する
預貯金、有価証券、不動産、借金、保証債務、未払い税金を調べる
登記事項証明書、納税通知書、公図、測量図、建築関係書類を整理する
仲介査定と買取査定で価格・期間・残置物対応・費用を確認する
弁護士、司法書士、税理士へ共有し、相続、限定承認、相続放棄を比較する
相続すると決めた後に、遺産分割、相続登記、売却を進める
査定時に伝えること
不動産に価値があっても多額の債務があれば、法律専門家へ相談してください。不動産会社は価格や売却方法を提案し、相続放棄の法的判断は弁護士などが行います。
使う予定のない相続不動産でも、相続放棄を決める前に査定を受ければ、現状のまま売却できる可能性や想定される手取り額を確認できます。
チェックリスト
相続した不動産を
売却で現金化!
相続放棄は不要な不動産だけを選んで行うことができず、3か月の期限や保存義務についても確認が必要です。老朽化や残置物がある不動産でも、査定を受ければ仲介売却と直接買取のどちらが適しているか、想定される価格や手間を比較できます。
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